最高裁判所第一小法廷 昭和25年(れ)824号 判決 1950年7月27日
主文
本件上告を棄却する。
理由
弁護人稲垣利雄、同黒坂一男上告趣意について。
しかし、本件は旧刑訴の適用を受ける事件であって、旧刑訴法上のいわゆる強制弁護事件ではない。そして憲法三七条三項は、被告人が自ら弁護人に依頼することができない場合には国でこれを附する旨を被告人に告知すべき義務を裁判所に負わせているものでないことは当裁判所大法廷の判例とするところである。(昭和二四年(れ)第二三八号同年一一月三〇日大法廷判決判例集第三巻第一一号一八五七頁以下参照)。されば、所論は採用し難い。
よって旧刑訴四四六条に従い主文のとおり判決する。
この判決は裁判官全員の一致した意見である。
(裁判長裁判官 齋藤悠輔 裁判官 沢田竹治郎 裁判官 岩松三郎)